アジアの絹織物を訪ねてタイに行こうと計画したとろ、シンガポールに駐在されていた方から、それならラオスやカンボジアにも行った方がよいとのアドバイスを受けました。調べてみると、ジムトンプソンに代表されるでモダンで色鮮やかなタイシルクではなく、伝統的な絹織物がタイ北部やラオス、カンボジアにあることが分かってきました。そこでタイ北部のチェンマイとラオスの古都ルアンパバーン、アンコールワットで有名なシムリアップに行くことにしました。

メーチェム織物祭り

チェンマイ市内から山道を3時間ほど行ったタイ最高峰ドイ・インタノンの裏側に広がる盆地に位置する自然豊かな静かな村メーチェムは、昔から織物の里として有名で2月に織物祭りが開かれるとの情報を得て行ってまいりました。到着するとちょうどパレードが始まったところで、民族衣装で着飾った美しい女性たちに会うことができました。

スプンガー織物博物館

ランナー地方料理を食べながら民族舞踊を観るカントークディナーの会場であるオールドチェンマイ文化センターにあるスプンガー織物博物館に行ってきました。夜のカントークディナーは有名ですが、織物博物館はあまり有名ではありません。しかし行ってみてびっくりの素晴らしいコレクションでした。世界的にみても織物に特化した博物館は驚くほど少なく、チェンマイにこれほどの織物博物館があろうとは想像もしていませんでした。

首長族の村

チェンマイから更に北へ3時間ほど行ったミャンマー/ラオスと国境を接するチェンライの山奥に少数民族(ヤオ族/アカ族/カレン族)のヤパ村があります。首長族のカレン族にいざり機を習い、アカ族の子供やおばあちゃんに会ってきました。

ルアンパバーン(ラオス)

カーン川とメコン川の合流地点に位置する緑豊かなランサン王国(1353-1975)の古都、町美しいラオスらしい町並みと歴史的・文化的・遺跡保護の観点から1995年世界 遺産に指定されました。仏教寺院と僧が多く、朝の托鉢が有名です。

郊外の織物の村(バーン・パノムとバーン・サンコン)に行き制作過程と織物をみましたが、地味なものがほとんどであまり芸術性は感じませんでした。町の中に一軒だけOckPopTokという高級そうなお店があり、中に入ってみると素敵な織物がたくさんありました。聞いてみるとフランス人がオーナーの「東西の出会い」いう意味のお店で、ラオスの織物に惚れ込み良い織物をプロデュースして作らせているそうです。

メインストリートは夜ナイトバザールに変身します。織物を売る店もたくさんありましたがハワイアンキルトのようなものがあり驚きました。

シムリアップ(カンボジア)

アンコール・ワット、アンコール・トムなどを含むアンコール遺跡群(世界遺産)の観光拠点です。

カンボジア織物の宝庫でもあります。カンボジア織物はもともとはインドの織物文化を受けて独自に発展しかっては200以上の絣柄がありました。絣柄は織り手の頭の中に記憶され、代々口承されてきましたが、長く続いた内戦で多くの織り手が亡くなったことや高齢化も進み、複雑な柄は少なくなり、姿を消してしまったものもあります。このような状況を改善しカンボジア織物を復興するために活躍している方々がいます。その一人に日本人の森本喜久男クメール伝統織物研究所長がいらしゃいます。森本さんにお会いし大変貴重なお話を伺い素晴らしい織物を見せていただいとことは今回の旅行の大きな収穫でした。またたまたま入ったお店で郊外の機織の村(PhnomSrok村)を知り無舗装の道を3時間ほど走って行ってきました。高床式の建物の1階部分が吹き抜けになっていて作業場になっており、糸を紡いだり、機織をしたりしている横に豚や牛がいてニワトリが駆け回る、本当にのんびりした機織の村でしたが、村はずれにはポルポト政権時代の人口の湖があり、その工事のために多くの人々が死亡した悲しい歴史もありました。

クメール伝統織物

Artisansシルク工房

PhnomSrok村