糸で描く物語25

豪華絢爛な刺繍で彩られた寝具を嫁入り道具として用意する、あるいは、親から子へと伝え継ぐ風習は、スロヴァキアでも見られました。そうした寝具は実際に使われない場合も多く、1-65 のように必ずしも具体的な用途のない装飾品もあります。繊細なドロンワーク刺繍による 1-62 は、シーツの端を飾ったものと考えられます。1-64 のようなレースは、布地をつなぎあわせるために用いられました。スロヴァキアの民俗芸術制作センターはこうした断片的な刺繍も大切に保管して、伝統工芸の保存・発展に役立てています。