オランダ・ノルウェー(アムステルダム、ベルゲン、ハーダンガーフィヨルド、フロム、ボス、アイフィヨルド、ソグネフィヨルド)

今回の旅行の最大の目標はノルウェーのハーダンガーフィヨルドのウトネという小さな村の民族博物館にハーダンガー刺繍を見に行くことでした。ハーダンガーフィヨルドはノルウェー第2の都市ベルゲンから行くのですが、ベルゲンへは日本から直行便はなく乗り継ぎも非常に悪いことから経由地のオランダのアムステルダムに2泊することにしました。

アムステルダム

街の中心のダム広場に面したホテルに泊まりましたが、ダム広場で野外コンサートが開かれていたため大変な人出と音でびっくりしました。到着後まづは運河めぐりの船にのり街を一回りし、その後飾り窓地区を散歩しました。運河沿いの道には大勢の人が行き交い、昔のようないかがわしい雰囲気は全くなくなっていました。夕食はアンティークな内装の伝統的オランダ料理のレストランに行きました。フランスやイタリアの料理のような洗練されたものではありませんが素朴で家庭的な味が楽しめました。翌日は花市場まで歩き花屋さんの前のスターバックスで朝食をとりました。運河沿いに多くの花屋さんが並びオランダらしくて良い観光地です。その後ゴッホ美術館と国立美術館に行きました。ゴッホ美術館は時系列的に作品が展示され、ゴッホの書簡なども展示されていて大変勉強になりました。残念ながら作品の撮影ができないため外観の写真だけです。ゴッホ美術館から5分ほどの国立美術館ではレンブラントとフェルメールを見ました。流石にすばらしくこれを見るだけでもアムステルダムに行く価値がありますね。事前にネットでチケットを購入していたため、どちらの美術館とも全く待たずに入館できました。良いシステムですね。

 ベルゲン

ホテルを出て石畳の道をしばらく歩くと港を隔てて世界遺産の木造家屋ブリッゲンが見えてきました。ハンザ同盟で栄えたカラフルな街並みを散策しクラシックなレストランでノルウェー料理を食べました。期待通り魚料理が絶品でした。港に面した魚市場は市場というより屋台食堂街といった感じで、お店の前で料理し裏のテーブルで食事ができるようになっており、観光客でいっぱいでした。ブリッゲンの裏手からケーブルカーで展望台のあるフロイエン山に登りました。ベルゲンの街が眼下に広がり絶景です。函館山の展望台のようです。翌日のバス乗り場を確認するためベルゲン駅まで歩きました。

ハーダンガーフィヨルド

ベルゲンからハーダンガーフィヨルドの港ノールハイムスンまでバスで1時間半、そこから高速船に乗って1時間でウトネにつきました。港の目の前には1722年から営業しているノルウェー最古のウトネホテルがあります。1階はフロント、ロビー、レストラン、2階は客室の小さな家族的なホテルです。昼食を頼んだらロビーのテーブルにリネンをひいて我々だけのダイニングをセットしてくれてびっくり。料理もおいしくて二度びっくりでした。この村には民族博物館があり特にハーダンガー刺繍のコレクションはノルウェー随一です。ハーダンガー刺繍はイタリアの刺繍技術がこの地に伝わり独自の発展をとげたもので、結婚式やおめでたい席の正装として着用されたものですが最近は後継者もいなくなり絶滅寸前の状況です。貧しかった時代に女性が美しい衣装を作るために一所懸命作ったものが、豊かな時代となり手のかかる手仕事をしなくなってしまったもので、世界中で起きている現象です。伝統を守ることは本当に大変なことだと展示を見ながら感じました。また本館の周囲には古民家が保存されており昔の生活を見ることができます。さらに車で30分フィヨルドに沿って行くとアガの村がありここにも民族博物館がありました。ここのハーダンガー刺繍のコレクションはウトネほど豊富ではありませんがコレクションは全て寄贈を申し出た女性と過去代々家を守り継いできた女性によって制作され着用し保存されてきた一家族の衣装です。翌日ウトネから再度高速船にのってハーダンガーフィヨルドの最深部のアイフィヨルドまで2時間のフィヨルドクルーズを楽しみました。両岸には山の中腹まで「さくらんぼ」と「りんご」の畑が続き、各所で滝が流れ落ち、村が現れます。船が立ち寄る港には大抵クラシックなリゾートホテルがあり、水面(海面)は鏡のようで地上の景色が写りこんで絵のような美しさです。

アイフィヨルド

ハーダンガーフィヨルド最深部の村です。車で20分ほど山道を登るとノルウェー屈指の名滝ヴォリングスフォッセンがあります。谷の両側から2つの滝が流れ落ちて谷底で一つになりまるでU字型の滝に見えることで有名です。我々の行った日は残念ながら片方の滝の水量が細くそれほどには見えませんでしたが、それでも正面の滝は二段三段に落ち雄大でした。アイフィヨルドのホテルは港に面して建ち窓からの景色はまさにフィヨルドのホテルそのものです。驚いたことにこんなフィヨルドの奥まったホテルに中国人と韓国人の団体が入っていたのです。日本人は我々だけだというのに。ところがホテルの前にはノルウェーの国旗の他、アメリカ、イギリス、スペイン、ドイツの旗と日本の旗が立っていましたが、中国や韓国の国旗は立っていないのです。

ボス

アイフィヨルドから1時間バスに乗ってベルゲンと首都オスロを結ぶ鉄道とハーダンガーフィヨルドとソグネフィヨルド方面行きのバスの発着点であるボスに着きました。そして駅からタクシーで湖を取りまく山の上にあるボス民族博物館に行ってきました。ハーダンガー刺繍はウトネやアガに比べると少ないながら胸当のコレクションが豊富で綺麗に整理されていました。しかしここの魅力は湖と街を見下ろす絶景です。この景色を見るだけでも立ち寄る価値があります。ミュールダール行きの電車の出発時間まで駅の隣のホテルで昼食をとりました。駅のホームと直結したホテルですが1864創立の素晴らしい歴史的ホテルでした。

フロム鉄道

ボス始発の電車にのりミュールダールまで1時間、いよいよ800メートルの高度差を1時間で下る登山鉄道フロム鉄道です。進行方向左側の眺めが良いのは分かっていましたが自由席のため思うように席が取れず反対側のそれも通路側という最悪の席でした。出発して2駅目で一時停車があり車外にでて間近に滝を見ることができます。飛沫でびしょびしょになりながら乗客はみな大喜びです。滝の上に赤い服を着た女性(魔女)がでて歌を歌います。その後は断崖、滝、山、川などの絶景を見ながらの下りを楽しみました。

フロム

ソグネフィヨルド観光の一大基地です。フロム鉄道、フィヨルド観光船、そして大型クルーズ船が集まり、観光客でいっぱいです。港の正面にはフレトハイムホテルがありロビーではソプラノ歌手による歓迎コンサートがありました。

ソグネフィヨルド

バスでグドヴァンゲンに行きフィヨルド観光船に乗ってフロムの手前のウンドレダールまでフィヨルドクルーズを楽しみました。この間はフィヨルドの幅が狭く左右に渓谷が迫り最もフィヨルドらしさを感じることができます。ノルウェー到着以来天候が不順で、毎日曇りベース、頻繁に小雨、時たま日差しがさすという状況でしたが、この日は快晴となりフィヨルド観光を満喫できました。グドヴァンゲンからは小型の観光船も同時出港し後方を追走、フロム方向からは観光船が次々とスレ違いフィヨルド観光銀座の様相です。緑の渓谷、無数の滝、カラフルで可愛らしい村、かもめ、フィヨルドは想像以上に美しく写真をとりまくりました。終点のフロムの手前のウンドレダールで下船しました。この村は山羊のチーズとスターヴ(木造)教会で有名な小さな村です。一般的な山羊チーズと異なり茶色く少し甘いチーズは独特でチーズというより何かのパテのようです。クラッカーに乗せて食べるとデザートの向いているようです。ここのスターヴ(木造)教会は良く写真でみる茶色でネパールの寺院のような形ではなく白くて一般的な教会のようですが内部が古い形式で外側が近代の形式のようです。フロムと異なり人口80人ほどの小さな可愛らしい村でフィヨルドの村を堪能できました。バスでフロムに戻り午後3時半に高速船でベルゲンに向け出港しました。途中いくつかの村を経由しながら5時間半のクルーズです。グドヴァンゲンからの部分と異なりフィヨルドの幅が広く景色的にはあまりドラマチックではありません。ベルゲンに近づくと美しい住宅が並ぶ内海クルーズとなります。海面ぎりぎりのところには船着場のある家がつづき、カラフルな住宅はどれも大きく、ノルウェーの生活レベルの高さを感じます。いよいよベルゲンに入港です。左側にはブリッゲンが、正面には魚市場が、右側には宿泊ホテルが見えます。午後9時ベルゲン到着しました。ようやくホテルに到着するとオーバーブッキングでリロケーション(ホテル変更)を告げられ近くのホテルに移動、やれやれです。しかし怪我の功名というか新しいホテルの近くに素敵なイタリアレストランを発見し最後の夕食を楽しうことができました。ノルウェーでイタリア料理、これが絶品でした。

おわりに

今回の旅行の大きな目的であるハーダンガー刺繍の見学は当初予定していたウトネの民族博物館だけではなくアガやボスの民族博物館に行くことができ予想以上の成果がありました。詳細は「刺繍・レース」のページに別途掲載していますのでごらんください。

個人旅行でフィヨルド観光をする場合、ベルゲンから日帰りで行く分にはオプショナルツアーのようなノルウェー・イン・ア・ナットシェルという周遊券が便利です。ソグネフィヨルドを例にとると、ベルゲンから鉄道でミュールダールへ、ミュールダールから登山鉄道でフロムへ、フロムからフィヨルド観光船でグドヴァンゲンへ、グドヴァンゲンからスタルハイム経由バスでボスへ、ボスから電車でベルゲンへ、という日程にそったチケットがセットされ料金も割安となっています。しかし今回のように周遊券ではカバーできないような日程となると途端に困難になります。鉄道・バス・船の時刻表がネット上にはあるのですが運輸機関毎にバラバラで探さねばならないのと駅名・バス停名・港名がノルウェー語で地図を参照しながら調べなければいけません。結果的には希望する日程を作ることができましたがかなり時間を要しました。外国人が日本国内の旅行日程を作るとしたらやはり大変だろうなと思いました、拡大する訪日旅行のFIT化に対応するのに時刻表の英文化が必要だと思いますが、どこまで進んでいるのかな?と思いました。

ネットでヨーロッパ個人旅行の日程作成と手配を行う度にネットの進歩を痛感します。エアーは格安航空券サイト、ホテルはホテル予約サイト、鉄道はレイルヨーロッパ、空港・ホテル間トランスファーは各空港のサイトに掲載された運送会社のサイト、美術館の予約は各美術館のサイト、船は船会社のサイト、で日程の大半は埼玉の田舎で予約・発券ができました。旅行会社の存在意義がだんだん少なくなっているなと心配する反面、調べて手配するのに大変な時間がかかる面もあり、一般的な人にとっては旅行会社の作るパッケージ旅行の方が便利なので、今後も旅行会社の存在意義は高いと思います。しかしそれにはより高い企画力と情報発信力が必要だとも思います。

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