モラはパナマのカリブ海のサンブラス諸島に住むクナ族による幾枚も重ねた布を切り抜いて作る独特なアップリケです。サンブラス諸島はクナ族が高度の自治権を持ち、クナ族以外には事業活動ができないため、外部の資本によるリゾート開発が行われず自然がそのまま残っています。

朝6時にパナマシティを出発してカリブ海の港まで2時間半、前半の道は平坦でしたが、後半は山道となり上下左右に今まで経験したことがない程のワインディングロードでした。クナ族の住むエリアは自治権が与えられ入域にはパスポートと入域税がかかります。域内のビジネスはクナ族に限られており外の資本が入れず、どこのリゾート地にでもあるような高級ホテルなどの施設はまったありません。観光客が行ける島は限定されており、クナ族の人々が住む51の島(コミュニティの島)とは厳密に分けられています。最初に案内された島は観光客用で我々が希望するクナ族が生活しモラを作っている島ではありませんでした。
そこでガイドに改めて当方の希望を強く述べ特別にコミュニティの島に行くことができました。到着したコミュニティの島は観光用の島とは全く違い、サトウキビの茎を柱にヤシの葉でふかれた屋根の素朴な家が密集して並び、年配の女性は民族衣装を着て足元は裸足でした。モラを作っているお宅に案内していただいて作品を拝見し制作日数8ヶ月の前後に精緻なモラを施したブラウスを譲っていただきました。