イタリア(アッシジ、トレヴィ、ペルージア、マジョーレ島、パニカーレ)

ウンブリア州地図

ッシジ刺繍(Assisi)

ラフェエラ先生

アッシジ刺繍のラフェエラ先生(Raffaella Bartolucci Cesaretti)にお会いし作品を拝見しお話を伺いました。先生はソルベッロ刺繍の権威であるポルポラ先生(Genevieve Porpora)と共にスポレート刺繍協会(UNITI DA UN’FILO)の理事をされており、アッシジ刺繍のオリジナルデザイン集や、アッシジ刺繍の歴史、デザインのヒント、貴重なアンティーク作品を収めた本(IL PUNTO ASSSISI)を著作されています。布はテラアッシジ麻100%、糸はDMC20番を使っているそうです。デザインは中世のファサードの動植物の模様、デルータ陶器に使われる模様、ルネッサンスの画家ラファエロの絵画やグロテスク模様、聖書のモチーフをヒントにおこしているとのこと。

トレヴィサンタルチア教会の金糸刺繍(Trevi)

修道女の皆様と
修道女の皆様と

アッシジ近郊のトレヴィはオリーブの樹々の中、円錐形の高い位置に構成された人口約1000人の小さな町。遠くから見ると町全体がピンク色でとても印象的です。それは町の背後にあるスパシオ山から切り出された石材のおかげでバラ色の町並みなのです。高い位置に町が築かれた理由は外敵や疫病から町を守る為だったそうです。教会では4名の修道女の方々にお出迎えいただき金糸刺繍を見せていただきました。マリヤさまの像に着せる華やかな衣装への金糸で刺繍するものです。今ではこうした刺繍ができるところが減り、イタリア中の教会などから修理や新調の依頼があるそうです。

ウンブリア州物産館(Perugia)

ウンブリア州の手仕事を支援している皆さんと
ウンブリア州の手仕事を支援している皆さんと

ペルージャは紀元前8世紀から前2世紀にイタリア中部に栄えた古代文明エトルリアの12の同盟都市のひとつ。その2000年以上前の歴史の跡がまだ残る街には、現在も街の周囲をめぐる城壁や城門(Arco Etrusco)にエトルリア時代の見事な建築を見ることができます。街の中心にある11月4日広場は宗教と行政の中心。繊細な彫刻が施されたフォンターナ・マッジョーレ(大噴水)などがあります。その旧市街の中心にあるウンブリア州物産館に展示されている刺繍やレースをソルベッロ刺繍のポルポラ先生のご紹介で特別に手にとって見ることができました。

ソルベッロ博物館(Palazzo Sorbello House Museum)

ソルベッロ刺繍博物館11_サイズ変更ペルージャ大聖堂の裏手にある博物館で学芸員の方の説明を受けながらソルベッロ刺繍のコレクションを拝見しました。素晴らしい刺繍のコレクションです。展示点数も半端ではありません。コレクションした方の情熱、伝えたい願いが伝わってきます。ソルベッロ刺繍はその制作を敢えて分業化し技法を門外不出としました。このため一貫した制作技法を知る人は現在ポルポラ先生をはじめ数人しかいないそうです。見学を終えた後バルコニーにはクロスのかかったテーブルに飲み物とアペリティーボ(おつまみ)が用意されていてホッと一息。夏の遅い夕暮れを迎えたペルージャの景色もタップリと楽しみました。

マジョーレ島レース博物館(Isola Maggiore)

アンナ・ディサンティスさん
アンナ・ディサンティスさん

ペルージャから1時間ほどフィレンツェ方向に行ったところにあるトラジメーノ湖の中のマジョーレ島にあるレース博物館を訪問しました。博物館の前の通りではレースを編む女性がお二人いました。お一人はアンナ・ディサンティスさん(90歳をこえています)は7歳の時からお母さんから口頭で編み方を教わりました。なんとマジョーレ島レースの創始者の直系でソフィア・ローレンやモナコ王妃のドレスを制作した家柄だそうです。

パニカーレ刺繍博物館(Panicale)

集まってくださった刺繍協会の皆さん
集まってくださった刺繍協会の皆さん

パニカーレはペルージャから25キロほど離れたトラジメーノ湖を見下ろす丘の上の中世の面影を残す小さな村です。パニカーレ刺繍協会の皆さんの歓迎を受けチュール刺繍のコレクションを拝見しお話を伺いました。刺繍をする為にいつも集まっているという教会内には展示用のボードが並びデザインの製図、チュールをのせざっくりとしつけをかけたプロセス、糸で刺しかけてある途中作業の作品がアンテイークから新しい試みのデザイン作品とともにわかりやすく展示されていました。教会のドアを開け放ち自然光を手元に受けマリアさんとアンナさんがいつもと同じ位置に座り作品制作をされていらしゃいました。わたしが立っている少し暗い位置からお二人を見ると光と影の効果でまるで絵画のようでした。お話しを伺う中から伝わってくる事はパニカーレ刺繍(チュール刺繍)に携わってくれる人が増えてほしいと願っていることでした。