豊田と名古屋の美術館に行ってきました
豊田市民藝館「特別展(アイヌの美しき手仕事)」、一宮市三岸節子記念美術館「常設展と特別展(生誕130年武井武雄展~幻想の世界へようこそ~)」、名古屋市徳川美術館「常設展と特別展(魅惑の源氏物語)」を見に行ってきました。
豊田市民藝館(アイヌの美しき手仕事)
豊田市は愛知県北部の三河地方に位置する都市でトヨタ自動車の本社があることで知られています。名古屋から鉄道の直行便はなく乗り換えで1時間ほどかかります。豊田市民藝館は豊田市から6キロほど北の平戸橋という郊外、駅から歩いて15分ほどの平戸橋公園の一角にありました。
9月に北海道の二風谷コタンでアイヌの民族衣装をたくさん見て、その素朴で力強い独特なデザインに魅入られました。その際に豊田市民藝館の特別展(アイヌの美しき手仕事)の開催を知り今回見学に来ましたが、流石に柳宗悦と芹沢銈介の眼鏡にかなった名品揃いでいずれも素晴らしいコレクションでした。また民藝館自体は広々とした日本庭園の中に一号館から三号館までが並び日本民藝館を凌ぐ趣です。10月末の平日とはいえ参観者は少なくほとんど貸切状態でゆっくり見ることができました。
平戸橋駅から名鉄一宮駅に移動し一泊(知立のりかえ約1時間半)、翌朝バスにて三岸節子記念美術館に向かいました(約15分)
一宮市三岸節子記念美術館
名誉市民である三岸節子の功績を讃え、かつて敷地内にあった生家の織物工場を思わせる鋸屋根や、節子が住んでいた頃から残る土蔵を活かした土蔵展示室、風景画のモチーフとなったヴェネチアの運河をイメージした水路、生前好んだ白い花の咲く木々など、節子の思い出と深くかかわった特色のある美術館です。
NHKの日曜美術館の「友よ!我らの美しき野は… 画家・三岸節子と長谷川春子」を見て是非作品を見たいと一宮まできました。
三岸節子は、日本の近代洋画を代表する画家であり、情熱的な作風で花や風景を描き、女性画家としても先駆的な存在でした。異端の天才画家と言われた三岸好太郎と19歳で結婚し、好太郎が31歳で夭折の後も、3人の子どもを育てながら94歳まで画家を貫きました。
常設展では、残念ながら93歳最後の大作「さいたさいたさくらがさいた」を見ることができませんでしたが、二十歳の出世作「自画像」から82歳の「アルカディアの赤い屋根(ガヂスにて)」までの代表作を見ることができました。特に80歳代の作品からは年齢を感じさせない力強さと色彩に圧倒されました。
展示作品は下記URLをクリックしてご覧ください
https://www.musashino.or.jp/museum/1002006/1002258/1002259/1002317/1002324.htm
同時開催の特別展「生誕130年武井武雄展~幻想の世界へようこそ~」も見ることができました。
武井武雄は大正から昭和にかけて童画、版画、刊本作品、玩具やトランプのデザインなど様々な芸術分野に活躍し、「子どもの心にふれる絵」の創造を目指して、自ら『童画』という言葉を生み出した方です。常の新しい作風・作画技法に挑戦した童画というレベルを遥かに超えた作品に感銘をうけました。
展示作品は下記HPをクリックしたください
名鉄一宮駅から金山でJRに乗り換え大曽根駅まで移動(約40分)し徒歩15分、広大な徳川園の横を通りながら徳川美術館に着きました。
徳川美術館
徳川家康から尾張徳川家初代の徳川義直(家康9男)が譲り受けた遺品を中核に、江戸時代を通じて御三家筆頭の大名家に受け継がれてきた名品と、その後の収集品から成る1万件を超えたコレクションを有する美術館です。
コレクションをまとまった形で後世に伝えていくことに思いを定めた尾張家19代義親が、財団(美術館)にこれらを寄贈したことに始まる当館は、「源氏物語絵巻」や「初音の調度」をはじめとする国宝9件、重要文化財に指定される絵画・陶磁器・染織品など59件、「短刀 銘 吉光 名物 後藤藤四郎」など1000振に及ぶ刀剣類など、質量ともに充実した日本文化の発信地です。
主な収蔵品は下記URLをクリックしてください
https://www.tokugawa-art-museum.jp/about/treasures/
第一展示室「家のシンボル 武具・刀剣」
大名道具は、公的な場で用いられる「表道具(おもてどうぐ)」と、私的な場で用いられる「奥道具(おくどうぐ)」に二分されます。武具は、武家にとって表道具の中でも最も重要な道具でした。
第2展示室「大名の数寄 茶の湯」
戦国武将らの間で流行した茶の湯は、「御数寄屋(おすきや)」の接待として、武家の公式行事に取り入れられました。
第3展示室「大名の室礼 書院飾り」
大名の公式行事に用いられた広間には、床(とこ)・違い棚(ちがいだな)・付書院(つけしょいん)といった、さまざまな道具が飾られる専用の空間が備えられていました。
第4展示室「武家の式楽 能」
能は、武家の式楽と位置づけられていました。御殿(ごてん)や屋敷(やしき)では、公式行事が行われる広間などの前庭に能舞台が設けられ、行事に際してたびたび上演されました。
第5展示室「大名の雅び 奥道具」
奥道具の代表は、大名家に嫁いだ姫君たちが持参した婚礼調度(ちょうど)です。婚礼の際は、身の回りで用いられる化粧道具や文房具、飲食器などの調度類一式が、統一された意匠(いしょう)のもとに用意されました。
第6展示室「王朝の華 源氏物語絵巻」
国宝「源氏物語絵巻」をはじめ鎌倉時代から江戸時代までに作成された多様な「源氏絵」や「古今和歌集」「土佐日記」「伊勢物語」「枕草子」の実物を目の当たりに見ることができ大変勉強になりました。
終わりに
9月の北海道行きをきっかけ豊田市民藝館で開催されている特別展「アイヌの美しき手仕事」を見に行くことになり、せっかく愛知に行くなら一泊してどこかに行こうと思い、一宮市の三岸節子記念美術館と名古屋市の徳川美術館に行くことにしました。結果は大成功で楽しい旅となりました。これからも日本各地の美術館や博物館を巡ってみたいと思います。