バレンシア
バレンシアの街を観光しました。まずタクシーでセラノスの塔まで行き、歩いてサンタマリア大聖堂、ラロンハ・デ・ラ・セダ、中央市場と回り、夕食はサンセバスチャン流のタパス(ピンチョス)の店に入りました。一品どれでも2ユーロ、皿に残った楊枝の数でお勘定です。
バレンシアの伝統織物工房
地下鉄に20分ほど乗りバレンシア郊外にある伝統織物エスポリン工房Garinを見学してきました。有名なバレンシアの火祭りのパレードで女性が身に纏う絢爛豪華な伝統衣装に使われる絹織物がエスポリンです。1820年創業のエスポリン工房Garinはヨーロッパに残る最古の織物工房と言われています。
工房に入ると100年以上前に作られた10台ほどの手織りの機械が並んでいました。横糸を通すシャトルをエスポリンと呼ぶことから生地の名になったそうです。生地を織りながら小さなシャトル=エスポリンに用意されたたくさんの色糸を織りあげる布の裏側を見ながら織り込むという非常に難しい技法です。
工房の建物が老朽化し最近は見学をお断りしているそうです。そうとも知らず予約なしで突然訪問してしまったため、最初は男性3人が出てきてダメですと断られドアは閉められました。私たちも諦めたところ、ドアが再び開き東洋人の老夫婦に同情して下さった様子で特別に入館を許可、大変丁寧に館内をご案内していただきました。織物の現場、染色された絹糸、デザイン室、大切なデザインの保管室、同じパターンでカラーアソートを変えたサンプル生地等々ここまで見せて下さるのかと感激しました。説明を受けながら時折私の拙いスペイン語でフランスのリオンでの経験などをポツリポツリと伝えるとあなたはそこまで興味を持っているのかと嬉しそうな笑顔を見せてくださり、エスポリン工房Garinについての本をプレゼントして下さいました。特別に入館を許可して下さったことと丁寧にご案内下さったことに心より感謝いたします。
写真と映像は最初はNGでしたが特別に撮影許可をしてくださいました。ありがとうございます。
バレンシアからパルマ・デ・マジョルカへ
ホテルから空港までタクシーでいきました。このタクシーが電動自動車のテスラだったのです。トランクにスーツケース2個も普通に入り、乗り心地も普通で違和感はまったくありません。しかし運転席を見ると13インチほどの大型モニターがついています。驚いたことに自分の車の前と左右の車や人の状況がリアルタイムでデジタル表示されているのです。自動運転一歩前の世界を見る思いです。
パルマ・デ・マジョルカのホテルにチェックインした後、久しぶりに和食にしようとホテルから近い日本食レストランに行きました。綺麗で洒落た和モダンの内装です。スタッフは全員スペイン人、英語のメニューを見ても何を食べたら良いのか判断しにくい表示です。とりあえず最初にサーモン、次に天ぷら、おすすめのカツオのタタキを頼みました。天ぷらはカラリと揚がり和食として立派なものでした。サーモンと鰹は和食とは言い難いのですがそれぞれソースが良く合い美味しくいただきました。最後に握り鮨を3貫(サーモン、ホタテ、マグロ)頼みましたが、これもまた美味しく大満足です。パルマ・デ・マジョルカを訪れる日本人観光客は少ないはずですが和食レストランはビックリするくらいたくさんあり、和食がスペインの食文化の一部にしっかりと定着していることを実感しました。
絣織り工房見学
インドを源流とする絣織は東南アジア諸国を巡って日本に伝わりましたが、パキスタンやウズベキスタンを巡りヨーロッパにも伝わりました。しかし20世紀半ばころまではヨーロッパ各地で織られていましたが現在ではスペインのマジョルカ島の二つの工房でしか織られていないそうです。今回マジョルカ島にきたのは絣伝播の西端を見るためでした(物好きですね)
Teixits Vicens社
バスで1時間、マジョルカ島の北端に近いポレンサに向かいました。バスの停留所の側に目的のお店の広いショールームがありました。残念ながら工房見学はできませんでした。ショールームにはおしゃれな絣商品が並んでいました。インテリア製品、バッグや小物、衣類、壁布 etc., 提案方法も色別に幾つかのサンプルを並べ、さらにまだこれだけのカラーパレットを用意しているのでカスタムメイドができることをアピール。確かに絣柄なのですが日本の絣のイメージとは全く異なります。現代の生活空間に取り入れたくなるような色のトーンやパターンのサイズ、アレンジ・デコ方法の提案が一般家庭の生活の場にすんなりと収まるのだと再認識するお店訪問となりました。カーテン/ドレープやテーブルクロスなど日本の家庭で使用しても違和感などなくきっと素敵なお部屋になることでしょうというクールモダンの印象でした。
Aresania Textil Bujosa社
次はバスと電車を乗り継いでサンタ・マリア・ダル・カミに向かいました。Bujosa社は1949年創業の3世代ファミリー企業で昔ながらの70cm幅の布を生産している唯一の工房です。
最初に工房を見せていただきました。古色愴然とした機械織り機が並び絣が織られていました。デザインはシンプルな幾何学模様と明るい色が特徴で、古代から島で使われてきたデザインを再編集したものだそうです。1925年までは天然染料(インディゴ、樹皮、コチニールなど)を使用していましたが現在では最高品質レベルの化学染料が導入され、あらゆる色に対応しています。工房見学を終えて店舗に戻ると絣織りの商品がたくさん並んでいました。バッグ一つを例に挙げると最近のトレンドを意識したデザインを取り入れています。布は欲しい分だけカットしてくれます。Teixits Vicens社の商品に対してこちらは落ち着いた色合いで織りの風合いが手仕事の好きな人には馴染むかもしれません。デザインは再編成とのことですが細やかな美しい色合わせに優しさのある伝統を感じました。
Bujosa社を訪問した後、近くのレストランで昼食をとりました。パエリアなどの米料理を専門とするお店でしたが、お米ではなく細かく折ったスパゲッティーを使ったシーフード・フィデワを頼みました。前菜のいわしの酢漬け共々、大変美味しくいただきました。






















































































