栃木県の馬頭温泉に泊まり紅葉と夕日を楽しみ温泉で養殖したトラフグのコースを堪能し、翌日は以前から行きたった茨城県結城市で結城紬を見学してきました。

馬頭温泉は宇都宮から普通電車で二駅先の氏家から車で30分ほど東に走った那珂川のほとりの温泉郷です。付近にゴルフ場が多いことからゴルファーの方には知られているようですが観光地としてはあまり有名ではありません。アルカリ単純泉とナトリウム塩化物泉の2種類の源泉があり、ナトリウム塩化物泉(塩分濃度1.2%、海水3.6%の1/3程度で生理食塩水0.9%に近い)を利用してトラフグの養殖をしていました。
http://www.ganso-onsentorahugu.com/

氏家で昼食をとりタクシーで馬頭温泉まで行き付近の観光をしました。

いわむらかずお絵本の丘美術館

14ひきのねずみシリーズで有名な絵本作家のいわむらかずお先生の美術館です。入館すると最初の展示室にシリーズの代表作の「ねずみのでんしゃ」の拡大版が置かれていました。この作品は横須賀市長沢に住んでいたころご近所付き合いをしていた児童文学の山下明生先生といわむらかずお先生が我が家やご近所の子どもたちをモデルにねずみの子供の物語として合作されたものです。展示された絵本や原画を見ながら今では40代になった子供たちに絵本を読み聞かせていた若かりし日々が思い出されました。

クリックで拡大、→で次の写真、←で前の写真、✕で終了

乾徳寺

室町時代に開基された曹洞宗の禅寺です。山門は武茂城の表門を移築したもので県指定文化財に指定されています。
紅葉が真っ盛りで建物や石仏などに映えて美しいお寺でした。

クリックで拡大、→で次の写真、←で前の写真、✕で終了

馬頭院

1217年に創建された古刹、水戸光圀により十万石の格式を授与され朱印寺となった格式のあるお寺です。境内にはたくさんのサクラ、ツバキ、ボタン、ツツジ、モミジなどの花木が多く「花の寺」としても親しまれています。

クリックで拡大、→で次の写真、←で前の写真、✕で終了

鷲子山上神社(とりのこさんじょうじんじゃ)

県境が大鳥居の中央、並びに奥の御本殿の中央を通るという全国でも珍しい神社です。御祭神は、天日鷲命(アメノヒワシノミコト)といわれる鳥の神様で、古い時代よりフクロウが大神様の御使い・幸福を呼ぶ神鳥として崇敬され「フクロウの神社」と呼ばれています。多くのフクロウ像があり、運気上昇・金運の福徳・
パワースポットとして、全国より多くの方々が来山されているそうです。

クリックで拡大、→で次の写真、←で前の写真、✕で終了

馬頭温泉 南平台温泉ホテル

那珂川を見下ろす丘の上のホテルです。アルカリ度の高いヌルヌル透明の湯と那須連山から日光連山を見る夕日が美しい宿でした。温泉で養殖したトラフグのコース料理をいただきました。玄界灘の荒海で育ったものと比較すると身のしまりが今ひとつですが美味しくいただきました。

クリックで拡大、→で次の写真、←で前の写真、✕で終了

二日目

宿の送迎バスで氏家にでて小山を経由して結城に行きました。駅前の結城市観光物産センターに立ち寄り結城紬の工房を見学できないかを相談したところ、工房は無理でしたが結城市伝統工芸館を紹介していただきました。

結城紬(ゆうきつむぎ)

日本三大紬(大島・結城・牛首)の一つに挙げられ、①蚕の繭をゆでて糸をとる通常の方法ではなく繭から袋状の真綿(まわた)を作りそれから手作業で糸を紡ぎ②手作業で糸をくくって絣模様を先染めし③地機(じばた)という原始的な織り機で織るという3工程が国重要無形文化財に指定されユネスコ無形文化財に登録されています。
https://story.nakagawa-masashichi.jp/craft_post/119997

結城市伝統工芸館

茨城県本場結城紬織物協同組合の小島理事長から結城紬の制作工程を詳しく解説していただき、天皇陛下の前で機織りの実演をされた技術保持者の野村さんから地機による機織りを見せていただきました。

クリックで拡大、→で次の写真、←で前の写真、✕で終了

つむぎの館

結城紬はそれぞれの工程が分業化され結城市内に10軒ほどある問屋(縞屋と呼ばれる)が生産をコーディネート(真綿の仕入れ、糸取り・糸染・機織り業者の発注)しマーケティング(販売)を行う体制になっています。結城市伝統工芸館を見学したあと結城市内に戻り問屋の一つ「奥順」を訪問しました。博物館・工房・展示場を総合した「つむぎの館」という施設を運営しており結城紬の歴史、制作工程や多彩な織物を見ることができます。
http://www.yukitumugi.co.jp/about/

クリックで拡大、→で次の写真、←で前の写真、✕で終了


結城市観光物産館センターで購入した結城紬のスカーフ

あとがき(結城で学んだこと)

1.紬(つむぎ)はつむぎ糸を使用した絹織物ですが、本来つむぎ糸は繭から直接糸がとれない欠陥のある繭(玉繭)から作る真綿(まわた)から手作業でよりをかけずに糸をつむいだものです。しかし現在ではその風合いの良さから玉繭に限らず正常な繭からも敢えて手間のかかる方法で作られています。

2.結城紬で使用する真綿は福島県伊達市保原の「入金真綿」が使用されています。
http://www.honmono-yukitsumugi.jp/entry/64

3.「糸つむぎ」「絣くくり」「地機織り」という3工程は分業化されており、結城市内に10軒ほどある問屋(縞屋と呼ばれる)が全体の生産をコーディネート(真綿の仕入れ、糸取り・糸染・機織り担当の業者への発注)し販売(マーケティング)を行っています(本場結城紬卸商協同組合

4.製品は問屋ブランドとして販売され製作者の氏名は基本的に表にでません。したがって製作者(作家)に会いたい場合は問屋を通さないと実現しないことが分かりました。今回は幸いにも結城市伝統工芸館にて生産者である茨城県本場結城紬織物協同組合の小島理事長と技術保持者の野村さんにお会いでき直接お話を伺えて幸いでした。ご紹介いただいた結城市観光物産センターの栗原さんに心より感謝いたします。

5.今回は平日(木)の訪問でしたが駅前をはじめ市内のほとんどの店が閉まり人通りもなく閑散としていました。新型コロナによる観光客減少や木曜定休日の店が多いという事情を勘案しても寂しい限りでした。結城に行くなら土日が良いようです。

動画版(9分)